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  • 小説

    【第8回】破産管財人

    その日、正義は珍しく朝から事務所の手伝いに借りだされていた。出がけに〈雑司ケ谷スイーツ〉の店先を見ると、平日なのにシャッターがしまったままで「本日臨時休業」の張り紙がしてあった。家のなかでも見かけなかったから、花梨はどこかに出かけているのだろう。
    彼の父親、不動征四郎(せいしろう)が経営する弁護士事務所は、都電荒川線の踏切を渡った向こう側にある。正義が自宅から歩いて事務所まで来ると、一台のバンが建物の前に停まっていた。

  • 【第8回】セイギメ~ン

    週が明けると、正義は〈ほおずき幼稚園〉を監視することにした。園内を外から覗き込んでいるような輩(やから)がいたら、何とか捕まえたいと思っていた。こういうときには「犬」の存在が役に立つ。彼は愛犬のフラットコーテッド・レトリーバー、フレンディを散歩に連れ出した。

  • 【第10回】3,Kisaraz - (1)

    「開けろう! 開けんと爆破するぞ!」
    男達が、ある邸宅のドアの鍵穴二つを塞ぐ様にそれぞれ小型爆弾を仕掛けた。

  • 小説

    【第03回】

    色褪せたパンツは、長年の酷使で股間の辺りが蜘蛛の巣状に擦り切れていた。歳月が凝縮された、まるで侘び寂びの風格さえ漂わせるパンツに、横山は戦友のような想いを抱き、

  • 小説

    【第02回】

    広げた皺だらけの喪服には、大小含めた夥しい数の虫食いの跡が穿うがたれていた。正面、袖、襟、ポケットの周辺、背中と、まんべんなくものの見事に食い散らかされている。

  • 小説

    【第7回】冬の植物園

    十月中旬に訪れたときにはまだ秋も浅く、紅葉の一つも見つけられなかったのに、それから一ヶ月経つと、〈小石川植物園〉の園内全体が一足飛びに秋を越えて冬になっていた。
    木々がすっかり葉を落としているのでやたらと見通しがいい。正門から入って本館に向かう坂道を上がってきた正義は、枯れたソメイヨシノの林を透かして、すぐに浜崎喜一の姿を見つけることができた。

  • 小説

    【第01回】

    八月も半ばを過ぎたというのに真夏日は、まるでいやがらせのように延々と続いていた。細い路地の入り組んだこの窮屈な住宅密集地にも、傾いた太陽がじりじりと照りつけている。

  • 小説

    【第1回】第一章:回天の土方―(1)

    「正直、海は苦手だ……」
    歳三は、船室の片隅で一人呟いた。
    その独り言を聞いて、「ふっ」と、自笑もした。
    〝俺が弱気になってやがる。この俺が〟

  • 小説

    【第1回】

     夕暮れ時の肌寒さが、秋の深まりを告げる。
     小路に並ぶ家々の垣根からは色づきはじめた紅葉や銀杏の葉がこぼれ、夜空は日に日に透明さを増していく。小走りに路地を行きながら、怜は星の瞬きする夜空を見あげた。

  • 【第7回】ふたつの梨

    翌日の日曜日、不動家に来客があった。シャッターを下ろした店の裏側で留守番をしていた花梨が応対に出ると、扉の外に立っていたのは一ノ瀬恵梨だった。
    「エリー──どうして?」
    「ごめんねぇ、お休みのところ──お兄さん、いる?」

  • 【第9回】2,Father - (5)

    損害割合がサイタマ十八パーセントのかながわ三十六パーセントでサイタマの圧勝であった。
    翌日の十日、かながわ経済主義国の国首今川旬斗はサイタマ総合庁舎の首相室に訪れ友作と会い、編入を決戦の結果より承認し、正式にかながわはサイタマに編入された。

  • 小説

    【第8回】2,Father - (4)

    開始二十分前になり、決戦についての諸注意が流れ始める。決戦には常にアメリカ軍や欧州連合軍の審判がついて行われ、この様にする事によって不正な決戦を避けられる。

  • 小説

    【第7回】2,Father - (3)

    翌四日午前、稲城友作は秘書である大吉英仁を解雇。内閣改造を稲城首相が考慮したのは大吉と坂戸が原因のため、その大吉を解雇した事により、内閣改造は白紙となった。

  • 【第6回】2,Father - (2)

    「スエノリの息子さん、サイタマのリーダーと成ったか。うむ。いいことだ」

  • 小説

    【第1回】

     だいぶん冷えるみたいですが、良いお日和になりましたね。
     こうしてお天道さまが顔を出してなさると、昼間、陽のあたるところなんか結構あったかくなるもんですから、もう明日っから師走なんだって気がしませんで。

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