バブルの崩壊〔平成時代〕(4)
川島甚平は十数年にわたって商店街の総務部長を務めてきた。総務といっても実質は副理事長を兼ね、理事長の女房役といっていい。じつは柳前理事長の前の元理事長・岡田耕介の時も総務部長であった。通常、理事長が辞めた場合、後任には総務部長がなる前例が続いていた。けれど甚平は頑なにそれを受けなかったのである。それは、自分がその器でないから、という理由だそうで、黒子に徹して本望なのだともいう。そんな噂を耳にして、わたしは嫌味なオッサンだ、と甚平と接しなかった頃は思った覚えがある。