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【検索結果】"川口世文 "の一覧

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  • 小説

    【第12回】愛有丸出港

    「はいはい、今起きるから……」
    正義は浜崎に起こされた。布団の感触がいつもと違うので、すぐに釣り宿に泊まっていたことを思い出した。

  • 小説

    【第9回】クロカンブッシュ

    「それでどうなったの?」
    JR桐生駅から、一ノ瀬舞衣の披露宴が行われるレストラン〈ラ・ストラーダ〉に向かうタクシーの後部座席で、花梨は一ノ瀬恵梨に向かって訊ねた。
    「どうなったって、何が?」
    恵梨はとぼけている。電車のなかでもずっと話があちこちに飛んでばかりだった。

  • 【第8回】セイギメ~ン

    週が明けると、正義は〈ほおずき幼稚園〉を監視することにした。園内を外から覗き込んでいるような輩(やから)がいたら、何とか捕まえたいと思っていた。こういうときには「犬」の存在が役に立つ。彼は愛犬のフラットコーテッド・レトリーバー、フレンディを散歩に連れ出した。

  • 小説

    【第7回】冬の植物園

    十月中旬に訪れたときにはまだ秋も浅く、紅葉の一つも見つけられなかったのに、それから一ヶ月経つと、〈小石川植物園〉の園内全体が一足飛びに秋を越えて冬になっていた。
    木々がすっかり葉を落としているのでやたらと見通しがいい。正門から入って本館に向かう坂道を上がってきた正義は、枯れたソメイヨシノの林を透かして、すぐに浜崎喜一の姿を見つけることができた。

  • 【第7回】ふたつの梨

    翌日の日曜日、不動家に来客があった。シャッターを下ろした店の裏側で留守番をしていた花梨が応対に出ると、扉の外に立っていたのは一ノ瀬恵梨だった。
    「エリー──どうして?」
    「ごめんねぇ、お休みのところ──お兄さん、いる?」