「スエノリの息子さん、サイタマのリーダーと成ったか。うむ。いいことだ」
「はい。私もまさか友作がサイタマのリーダーになるとは思いもしませんでしたよ。ニュースの速報で見て、テレビに抱きつきましたよ。
親方さん、これで我が陶組も安泰です。親ながら面目ない事をしたが、友作から首相報酬の半分の三十万円を月に一度いただける事になったので、二十万をここに流しましょう」
「おお、そうか。思わぬ収入源。ありがたくスエノリの息子さんから頂戴いたそう」
「親方さん、スエノリさん、友作君の守りはどうする?」
「おいおい、奴らは友作さんの親がスエノリだと言う事を知らないだろ。というか、どうしてサイタマのリーダーを殺るんだよ? 彼を殺る事に何の利益がある?」
「ないな」
「では、現状維持で?」
「ああ。一方的に金はもらうが友作さんに何かあったらこの御恩はしっかり返そう。で、スエノリはサイタマのリーダーの父親として恥ない様にしろ」
「分かりやした」
全身黒スーツの男達七人が、さいたま市の与野のある十畳のアパートの一室で、何か怪しい話をしている。その中に友作の父の季範の姿もあった。