だいぶん冷えるみたいですが、良いお日和になりましたね。
こうしてお天道さまが顔を出してなさると、昼間、陽のあたるところなんか結構あったかくなるもんですから、もう明日っから師走なんだって気がしませんで。
案外とこの冬は、こんな調子で、降らんのじゃないかと思いますよ。それでもそろっと、庭の雪囲いを頼んどいてもらわんとならんのでしょうが。
いえね、実を言うと、年甲斐もなくはしゃいじまってるんですよ。
そりゃそうです。
こうやってひがないちんち日向ぼっこってのは、極楽にゃァちがいありませんが、過ぎるとかえっていけませんやね。あんまし暇で暇で、しまいにはくたびれちまうんです。そんなですから、たまにこうやってしゃべることなんかあったりしますと、ついつい、余計なことまで言っちまうみたいで。
まァ話ってのは、私のたったひとりの孫娘のことでしてね。こりゃまたずいぶんな手前味噌になっちまうんですが、このおまさ坊ってのが──ああ、名はまさこです。正月の正の字で、正子。
おまさ坊は次の新年(はる)で数えの十七、これがなかなかの器量良しに育ちましてね。私が言っちゃァなんですが、頭の早いの気立ての良いの、そのうえ芸事のひとつなんぞも真似とりまして────。