【第1回】 | マイナビブックス

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 だいぶん冷えるみたいですが、良いお日和になりましたね。

 こうしてお天道さまが顔を出してなさると、昼間、陽のあたるところなんか結構あったかくなるもんですから、もう明日っから師走なんだって気がしませんで。

案外とこの冬は、こんな調子で、降らんのじゃないかと思いますよ。それでもそろっと、庭の雪囲いを頼んどいてもらわんとならんのでしょうが。

 いえね、実を言うと、年甲斐もなくはしゃいじまってるんですよ。

 そりゃそうです。

 こうやってひがないちんち日向ぼっこってのは、極楽にゃァちがいありませんが、過ぎるとかえっていけませんやね。あんまし暇で暇で、しまいにはくたびれちまうんです。そんなですから、たまにこうやってしゃべることなんかあったりしますと、ついつい、余計なことまで言っちまうみたいで。

 まァ話ってのは、私のたったひとりの孫娘のことでしてね。こりゃまたずいぶんな手前味噌になっちまうんですが、このおまさ坊ってのが──ああ、名はまさこです。正月の正の字で、正子。

 おまさ坊は次の新年(はる)で数えの十七、これがなかなかの器量良しに育ちましてね。私が言っちゃァなんですが、頭の早いの気立ての良いの、そのうえ芸事のひとつなんぞも真似とりまして────。

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