【作品】一覧 短歌 【第16回】思い出 思い出がつきることはないアパートの壁に罅が入ったのは生まれる一年前の東日本大震災のときで、 冬はつとめて | 花山周子 短歌 【第15回】髪 生まれたときから一度も切っていない髪は、彼女の背も伸びるので彼女の腰より高いところでいつでもととどまっているのを背後からじっと眺める。 冬はつとめて | 花山周子 短歌 【第14回】生き物 絶えず動き続けている。黄色くなった畳の上の小さなパイプ椅子の上にぎしぎしと前後に揺れながら 冬はつとめて | 花山周子 短歌 【第13回】公園 春の日の第三公園は、民家とアパートと塀に囲まれた小さな正方形の公園。 冬はつとめて | 花山周子 短歌 【第12回】六月 四歳にも三歳にも見えるけれど五歳くらいの女の子の長い髪の毛はやや右寄りに編みあげられて、赤いチェックのリボンがてろんと付着している。 冬はつとめて | 花山周子 短歌 【第11回】しゃぼん玉 夕暮れ薄暮の四階の窓にふたつの顔。小さな顔の後ろから大きな顔が見下ろす桜並木から、 冬はつとめて | 花山周子 短歌 【第10回】傘 手を繫ぎ 桜の花はあんまり咲いてないね、 まだあんまり咲いてないねって言った 傘をさしたくなった 冬はつとめて | 花山周子 短歌 【第9回】一年前の春 富田昭一は現在八十六歳。一人暮らしをしている。彼には年子の姉と、四つ上の姉がいた。 冬はつとめて | 花山周子 短歌 【第8回】スリの話 私が子供の頃にはスリの話をよく聞いた。 財布を紛失すると母は「すられたかも」と言った。 その言い方が怖かった。 冬はつとめて | 花山周子 1/212…≫最後のページ