【作品】一覧 詩 【第17回】中野 書記と台帳の庭で犬たちが遊んでいるよ すべて在来種だ、耳がぴんと立ち尾が巻いて キャンキャンしたやつらだがその合唱は 遠いアトラス | 管啓次郎 詩 【第14回】シアトル 白い図書館の巨大な空間に 漆黒のワタリガラスたちが飛び交っている 知恵は知識はどこだとさんざん啼きながら 遠いアトラス | 管啓次郎 詩 【第11回】マンハッタン 見てごらんさわってごらん、星が泣く公園で 緑灰色の岩肌に残る正確な線条が この島が氷河に洗われていた時代の 遠いアトラス | 管啓次郎 詩 【第8回】アイツタキ その砂浜を小さな砂色の蟹がかけてゆく 打ち上げられた小さなふぐの身をついばむために 半透明の体を陽光が影にむすび 遠いアトラス | 管啓次郎 詩 【第5回】アムステルダム 水路が扇のように風を生む北の港町だ 路上を埋めつくすかもめたちをかわしながら歩く こんな冬の底で夏の夜のひまわりを思えば 遠いアトラス | 管啓次郎 詩 【第2回】緑の海のへりで 港で始まり、港で終わる。 北半球の港で終わり、南半球の港で始まる。 遠いアトラス | 管啓次郎