【作品】一覧
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【第7回】【急募!新入部員!】劇団卒業準備委員会【未経験者歓迎・裏方同時募集中】
パイプ椅子を折りたたむ手の平たちは
銀色の匂いに浸されて潤んでいた -
【第6回】情報処理室のパソコンみたいに私たち、フリーズしている暇なんてないのだ。
「手のひらを合わせたまま両腕を頭上にあげて、はいミナレット!」
「ていうか、ベルベル人ってなんか可愛いよね、響きが。」 -
【第5回】存在しない俺、なんて存在しなかったことにするために吹け春一番。
赤、青、緑色のジャージがちらちら、またたく
甲高い声援を送る女子のジャージの上着の袖口 -
【第4回】強いコーヒーになったら優しいミルクな君とカフェオレみたいな放課後を過ごしたい。
いくらか春めく光りを
帯に見せる空気中の埃にさえ
静謐な魂が宿っているような -
【第3回】ドーナツの穴にタナトスが宿っていると仮定した場合の問1を解いてはいけない。
三年生の、赤い上履きとすれ違わなくなった。
一学年分の気配が薄らいで
学校は昔の面影を取り戻したような気がする -
【第2回】膝下15センチのスカートの奥に装備されたガーターベルトを取り締まる校則はさすがになかった。
(板書の文字は角ばって ロマンスグレーの
話が脱線しやすい おじいちゃん) -
【第1回】最低限必要な演出だから僕も走るんです、群れからやや離れて。
通過する体育館前、正門、車道を永遠に左折して
回り続ける僕らを追い越して再びはすれ違わない
銀色のママチャリ、宅配便のトラック、犬に散歩されているおばさん
物理的な壁も柵もないのに誰一人、道をはずれない、線路を越えない -
「ことばのかたち ~日々が紙から飛びだして~」Season4。金曜日のご担当は詩人のそらしといろさんです。
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