【第5回】存在しない俺、なんて存在しなかったことにするために吹け春一番。 | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

『モブキャラ生徒Aが彩る高校青春グラフィティ』も3期に突入な件。

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【第5回】存在しない俺、なんて存在しなかったことにするために吹け春一番。

2015.02.27 | そらしといろ

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赤、青、緑色のジャージがちらちら、またたく
甲高い声援を送る女子のジャージの上着の袖口
ゴムで絞られているのをハサミで切って、てろてろにしている
どういう美学が働いているのか俺にはきっと永遠にわからない
 
学期末ごとに行われる競技会、学年も入り乱れて始まるバスケの決勝戦
一年間、同じ教室に存在していても、目も声も交わらずに過ぎてゆく
シングルスの卓球にエントリーして、ほっとすることは寂しくない
と、格好つけて隣人がジャージの袖口を切る美学は遠のくばかり
 
体育館の水銀灯に浮かび上がる
緑色のジャージ同士、最後くらい仲良くしよう
と、空気に書かれた透明で拙い文字に 応える/応えない
 
このクラスが解散するまで、あとひと月もない今更に、
友達はとりあえず、思い出を作りたくなって口元にあてた両手の冷たさは、
声援の熱気で温めるものだと知った2月27日金曜日の天気予報/曇り→晴れ

 

2015.2.27