【第2回】膝下15センチのスカートの奥に装備されたガーターベルトを取り締まる校則はさすがになかった。 | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

『モブキャラ生徒Aが彩る高校青春グラフィティ』も3期に突入な件。

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【第2回】膝下15センチのスカートの奥に装備されたガーターベルトを取り締まる校則はさすがになかった。

2015.02.06 | そらしといろ

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(板書の文字は角ばって    ロマンスグレーの
         話が脱線しやすい    おじいちゃん)
 
先生の背中から抜けた
白い羽が
ストーブの温風に乗ってどこまでも
                 教室は 四角く閉じている
 
一時間目からクライマックスな
永訣の朝
教科書の中で死にそうなとし子より
                 先生 背中に羽が生えるなんて
           もうすぐ死んじゃうんですか?
 
「えー 私としては “兜率の天の食”よりも
      “天上のアイスクリーム”の方が 表現としては好きなのですが
昔 イタリアへ旅行したときに 
         現地で食べたジェラートがですね もうすごい 」
 
先生が脱線をはじめると
みんなうつむいておかしいくらい呼吸もしずかになる
 
脱線しても走り続ける列車
乗車している先生と私をどこまでか
              運んでいって
            止まったところで
      ピスタチオのジェラート食べながら先生ともっと脱線したいです
 
ノートには
日付の代わりに
ジェラートの落書きを添えて
叶いもしない妄想の翼をたためば
浮遊していた先生の羽が私のブレザーに不時着する
 
校則で生徒は着られない
ダウンジャケットの一片も
これは先生であるということ
              あるいは先生が天使である可能性について


2015.2.6