【第1回】最低限必要な演出だから僕も走るんです、群れからやや離れて。 | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

『モブキャラ生徒Aが彩る高校青春グラフィティ』も3期に突入な件。

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【第1回】最低限必要な演出だから僕も走るんです、群れからやや離れて。

2015.01.30 | そらしといろ

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通過する体育館前、正門、車道を永遠に左折して
回り続ける僕らを追い越して再びはすれ違わない
銀色のママチャリ、宅配便のトラック、犬に散歩されているおばさん
物理的な壁も柵もないのに誰一人、道をはずれない、線路を越えない
 
先頭争いをしている、男子ソフトテニス部、野球部、くそ真面目な陸上部
夏休みに行った田舎、の水族館の縦に細長い水槽で同じ、方向をぐるぐるひたすら泳ぐ鰯の、
(群れは止まることを知っ、たら死んじゃうのかな)
停止しそうな脚に代わって思考は巡り続ける(下から数えたほうが早い今日は、何位だろう)
 
身体の骨ばった部分が赤い
ガラスになって破れそうな喉は水分をもとめて
突き出した舌、うろこめく風花、触れて、切れたのは、くちびる
 
【日付】1月30日(金)
【授業内容】……6時間目・体育、持久走、男子の1位は神谷、女子の1位は高橋。
【ひとこと】走っている途中で一瞬、雪が降ったのを、誰も気づかなかったらしい。



​2015.1.30