【記事】文芸一覧
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正義が運転するハマーH1が東京湾アクアラインのトンネルに入ったころ、後部座席の浜崎喜一がうとうとしはじめた。助手席に座っていた恵梨は何度か声をかけて本当に眠っていることを確認すると、ようやくホッとしたように体の力を抜いた。
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ボクはコウタ。猫だ。仙吉さんというおじいさんと暮らしている。ボクはいつも、仙吉さんの膝の上で眠ったり、縁側で日向ぼっこをしたり、一人でぶらりと出かけたりと、気ままに過ごしている。
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翌朝、舞衣が出かける準備をしていると、恵梨から携帯に電話がかかってきた。いつもはこんな時間に連絡が入ることはなかったので、何かあったのかと心配したが、恵梨の用件は単に現状報告の催促だった。
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〈越後・湯沢法律事務所〉というスキー場みたいな名前の大手法律事務所を、正義が訪れたのはこれが初めてではなかった。別件で征四郎といっしょに打ち合わせにきたことがある。
今日彼を呼び出したのは他ならぬ霧島弁護士だった。全面擦りガラスで仕切られた豪華なミーティングルームに現れた霧島は、中年の別の男性といっしょだった。 -
青井錬二は彼の大学の構内にある「学生会館」というひょろ長いビルに正義を案内した。さまざまな部活動の案内ビラが貼られた通路をどんどん奥へと進み、やがて裏口から外に抜けてしまう。ビルの裏側のわずかな敷地に、工事現場で使うようなプレハブ小屋が建っていた。
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「とにかく……だ」
「坂本が望んだとおりに、慶喜公は『大政奉還』をしてくれたというのに、それを薩長の連中は踏みにじって、徳川家を葬り去ろうとしている。 -
谷口は、「横山、お前が羨ましいよ、忙しくて死にそうだ。南の島なんて行き飽きたぜ」などと真っ黒に日焼けした顔で軽口を叩いていたが、自慢にしか聞こえなかった。
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俳優、柴田五郎は自分の病状を家族と所属会社幹部及び担当マネージャー以外に伏せ、入院を拒否し、いよいよ状況が差し迫って病院に運びこまれた翌朝、息を引き取ったという。
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「それでどうなったの?」
JR桐生駅から、一ノ瀬舞衣の披露宴が行われるレストラン〈ラ・ストラーダ〉に向かうタクシーの後部座席で、花梨は一ノ瀬恵梨に向かって訊ねた。
「どうなったって、何が?」
恵梨はとぼけている。電車のなかでもずっと話があちこちに飛んでばかりだった。 -
友作がサイタマに戻ると、サイタマ自衛軍最高司令官の武石走と外務大臣の出口慎、警視庁長官の瀬谷十二を呼んで秘密会議を開くことにした。サイタマ国会の小会議場で友作が一足先に着いて待っていると、長身でがっつりした体型の武石と桑年の細身で端正な顔立ちをした瀬谷が入ってきて、六角形のテーブルにそれぞれ友作と話しやすい位置に腰を下ろした。
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霊園の周りにいくつかある花店の一つで、若い男が水道を借りてズボンの泥を落としている。正義は店先のイスで休ませてもらうことにした。
彼は青井錬二(れんじ)という名前だった。正義が東西南北を順に指し示して在学している大学を訊ねると、目白駅の方向を見てうなずいた。
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