友作がサイタマに戻ると、サイタマ自衛軍最高司令官の武石走と外務大臣の出口慎、警視庁長官の瀬谷十二を呼んで秘密会議を開くことにした。サイタマ国会の小会議場で友作が一足先に着いて待っていると、長身でがっつりした体型の武石と桑年の細身で端正な顔立ちをした瀬谷が入ってきて、六角形のテーブルにそれぞれ友作と話しやすい位置に腰を下ろした。武石が「出口はまだなのか」と会議場の扉を睨んだ。
「時間を読めぬ者は戦に勝てぬ」
武石が付け加える。瀬谷が同感しそうだと頷く。三分経って、低身で小太りの出口が、額の汗をハンカチで拭いながら、入ってきた。
「遅いぞ。国の外交をまとめる方がこれでは、サイタマも危ない」
武石は出口を叱った。友作は腕時計をちらと見た。十五時半で、集合時間ぴったりであった。が、何も言わなかった。出口は、ペコペコと頭を下げていそいそと席に着いた。
「す、す、すいませんが、会議を始める前にいいですかね」
席に着くなり出口はおどおどしながら唇を動かした。武石は「早く手短に頼む」と口を出した。
「ふ、ふ、ふ……」
「何が可笑しい?」