日録
誰が誰の首になるのかと足取りがつづいて
よわる息のつかいの静かな伝わりに呼ばれ
さらにその足を踏まれれば崩れる寸前まで
横断する内側の傷口に重なる人たちの声に
ならない声の飛散する曇り空を渡っていく
踏みこむ足裏たちがいくつもよぎっていき
光沢は尾をひくいくつものおらぶ眼になり
かすれ重なる人たちの力に押されよろめく
今日の光はにわかにかげり耳の奥底の膜に
響いている足たちが不揃いな抑揚で動いて
掴まれる一瞬の前の姿勢になり振りかえる
先先までの冷えたかたしろを高く投げあげ
欠片になる散り散りの怒りは踏みにじられ
問われる小さな斑になる生命のすり減りに
足を伸ばす重みにひしがれながら前を向く
すれ違いざまの擦傷が知らぬうちに増える
名残りの手のひらの内側を小刻みに震わせ
留まるひび割れの向こう側から片眼が覗き
いつになく纏わりつく横から殴りの冷笑に
鈴なりの人たちが迷うまま僅かな歩を進め
平たくなる足先にかすれた鈍い痛みが燈り
ぶらさがる人影のかたちがいくつも揺れる
ながく抑揚する高く怒鳴る音の声が割れて
引き延ばす判断が遅延する街角の賑わいに
細細と綴られる底辺の背中の可能性にまで
破壊する冗漫として行き過ぎる外れていく
錯乱であるならば伝わらない言説が連なり
めいめいの泥濘に右足を踏み入れこごまる
ひらひらめいた風に煽られる眩暈の訪れに
騒音の狭間の静謐に晒されながら前を向く