とうめいなおどり
悪びれないわたしたちの思い出が
季節風に乗ってやってきて
ある方向を
ふたたび指さす
草かげの根切り虫を
そっと探る
ゆび ゆび ゆび
あれは
夏だった?
手のひらの二粒の豆のように
乾いた肌をぶつけあって
手が歩けばわたしたちも揺れた
ひと気ない音楽室で
天翔ける馬をたしかに
かいま見たと
め め め
つごうよく変わる万華鏡が
ついていたティネージの ――
葦原をゆく 山をゆく
谷をのぞき 光る街にあこがれる
服を脱げば忘れるものがあり
生まれる音楽も
金の音符も見つけたでしょう
みみ みみ みみ
蛇のように沈黙の
木床に渦を巻いて
しずかな汗をかいた
陽ざらしの素肌の痛み
て て て また
悪びれない
くち くち くち
放課後を踏みつける
足が空から降りてきて
アサガオが枯れ
蝉があおむけに
零ちても
わたしたちは離れなかった
ルフラン
もつれあう
カナブンのよう
背を割ろうと甘く
甘くもがく
あれは
夏だった?
2015.07.30