詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

とうめいなおどり

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【第7回】ことばの魚

2015.07.23 | 三上その子

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海が海という名前なのは
初めて海を見た人が
「う」
とつぶやいたから
 
そんな冗談みたいな
大まじめな話を読んで
転がしてみた
舌の先で
 
う・う・う・う…うー?
 
ことばの
その 可笑しさが
私に 詩を書かせる
 
あなたを見て
「あ」と言った
ときめきが もう
思い出せなくとも
 
あなた
ということばがかつて
私の大切な
詩であったことを
 
「あ」の音が
私に
思い出させるだろう
 
いつも
つねに
永遠に
 
海を見て
「う」と言って
あなたを見て
「あ」と言った
 
唇で 想いを渡し
耳もとで 受けとめた
 
可笑しい
かなしい
ことばの魚
今宵
とき放たれてゆく
 
私がここで
つぶやくたびに
 
思い出の
海の中へと
帰ってゆく

 

2015.7.23

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