【第7回】無題 | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

冬はつとめて

冬はつとめて

【第7回】無題

2015.03.14 | 花山周子

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軽やかに歩くこと
風が吹き
遠くから夢のように青い空が来る
忘れたことを
ここでは思い出している

はっきり思い出す
風が吹き
昨日が鳶のように飛んで来た
失ったものを
ここでは書き記す

真剣に書くのね
風が吹き
広い模造紙は旗のように波打つ
いない人の
ここでは声がよく通る

大声で笑ってらあ
風が吹き
水のように明るい
生きていた人たちが
ここにいる



2015.3.14