【第6回】水色の水たまり | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

冬はつとめて

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【第6回】水色の水たまり

2015.03.07 | 花山周子

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たくさん雨が降った、次の日の朝のこと。空はきれいに晴れ渡り、さきちゃんちの屋上には水色の水たまりができている。そこへ、一羽の雀がカラスから逃げて飛んでくる。ちゃぽん。「あー疲れた。パシャ、パシャ、パシャ、あっ、大変!カラスが来た!」雀は急いで飛び立つ。しかし、不思議なことに飛び去る雀の姿はカラスには見えない。バシャン。「あー疲れたな、あの雀どこに行ったんだ、バシャ、バシャ、バシャ、おや?おかしいな、俺の体が水色になっている!」驚いたカラスが勢いよく飛び立つ。夕方になる。オレンジ色になったさきちゃんちの屋上の水たまりに、あの水色のカラスがやってくる。「おー疲れた。今日はたくさん飛んだから汗びっしょりだ、バシャ、バシャ、バシャ、こりゃ大変だ!」火の鳥のようになったカラスが慌てて飛び去る。夜。水たまりは冷たい鏡のように黒く艶めき、あのカラスが降り立つ。「ひたり、ひたり、ひたり」静かに水浴びをしたカラスは、さきちゃんちの屋上で真っ黒な翼を大きく広げる。
 
 

​2015.3.7​