週番が粉末状にしてゆく
黒板に書かれた
ここからは遠い日のできごと
 
きっと黒板に書かれることはない
今日という日を生きている
あらゆる存在の短い年表
 
「　　　、」
いのちに刻まれた名前を呼ばれる
名もなき、とは言えない自分の座席を離れて
 
名前を呼んでくれた
きみの名前はうまく呼べないけれど
これもひとつの歴史として覚えていようと思う
 
黒板にしぶとく残る筆跡のような
儚い力強さをふり絞っている日々の端っこが、好きだと思う。