【第4回】さきちゃんとペンギンさんのお話 | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

冬はつとめて

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【第4回】さきちゃんとペンギンさんのお話

2015.02.21 | 花山周子

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さきちゃんとペンギンさんはとっても仲良しです。
さきちゃんとペンギンさんはいっしょにお出かけするのが大好きです。
「今日はどこに行こうか」とペンギンさんが言いました。
「今日はどこに行こうかねえ」さきちゃんも言いました。
 
そこでお母さんに相談することにしました。
「ねえねえお母さん!さきちゃんとお、ペンギンさんとお、いっしょにお出かけするんだけど、どこ行こうか?」
「そおねえ。」お母さんも考えました。
「じゃあ、屋上に洗濯物干してるから、いっしょに取りに行ってくれない?」
「いいよお!」とさきちゃんは言いました。
 
さきちゃんは、ペンギンさんをぎゅっと抱いて、お靴を上手に履いて、ドアを上手に開けるとトントントンと階段を上って行きました。
 
屋上に着くとカラスがいっぱいいました。さきちゃんは少し怖くなってしまいました。小さな声で「こんにちは」と言いました。すると、「カア!」とカラスが大きな声で叫びました。さきちゃんはびっくりしてペンギンさんを落っことしてしまいました。
ペンギンさんはコロコロコロとカラスのほうへ転がっていきます。
「あっ!ペンギンさん!」
カラスがペンギンさんをパッと咥えたかと思うと、あっという間に遠くに飛んで行ってしまいました。
 

おわり


2015.2.21