詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

やねとふね

やねとふね

【第10回】占い師

2014.07.18 | 河野聡子

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水はなく、風があり、渦を巻いている、ふねは風の渦のまんなかを通っていく、予言されたとおりに航海している、遠くに旗をもつ青い帽子の人が立つ、水はないのに波があり、ふねに接触するたび火花が散る、時間が火花をとばす、渦に触れたとたんに消えるだろう、心配はいらない、おまえたちは安全である、おまえたちはこの国そのものであるこのふねと、おまえたち自身を、しっかりと維持できる、なぜならおまえたちには
 
があるからだ。
 
雨のように何かが降ってくる
降ってくるものだ
降らせるものではない
降らせるものはいない、
想定外の
 
爆音。
押しつぶされるぶあつい光、
生きている管がしめつけられる音、
ほそいところから絞り出される空気の
裏返しに吐きだされる
音、
そして無音になる。
 
ひとりの幽霊もおしゃべりをしない
ながい
ながい
無音。

2014.7.18

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