詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

誰でも明日のことは考える

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【第9回】戦争が降ってくる

2014.07.07 | 城戸朱理

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白いスニーカーを洗ったら
また、空が高くなった
積乱雲が湧き上がり
張り詰めた空を、さらに押し上げる
影は夏の陽射しに抗議して
足元に小さく小さく凝っていく
まるで、塊のように
それは、限界集落にも見える

出来るだけ乏しい語彙で綴った
貧しいテクスト
生まれてくる子供はなく
老いていくだけの人がいる
いずれ、この集落は消える
近いうちに、この集落は消え失せる
貧しいテクストの余白はあまりに大きく
昼を過ぎると、波さえ打ち寄せて

きっと沖では蒼ざめた鯨と
白いイルカが鳴き交わしている
文明の凋落を嘆きながら。

足元が砂のように崩れ、国家の輪郭が見えなくなると
残されるのは、言葉しかない

もう、言葉しかなかった

ただ、北の涯てを見てみたかっただけなのだ

たとえ、そこには、体温を激しく奪っていく
透明な風が吹いているだけだったとしても

2014.7.6

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