誰でも明日のことは考える
もう何年も虹を見ていない
天候は、あまりに気まぐれで
人生を揺さぶったりもする
季節が変わったのは、グロスの色で知る
自我を塗りつぶしたようなリップグロスの色で
どんな夢見がちな人間だって
永遠の生命なぞ絵空事なのを知っているのに
国家が永続すると、なぜ、信じられるのか
真っ赤なグロスの残像が目の端に残る
飛行機が降下していくと
几帳面な正方形の水田が広がっていく
絶え間なく蒸発する水分は列島を濡らしていくだろう
あおざめていく森、
湿度を呼吸する人々は
ビルの谷間で真紅の唇から深いため息をつく
昨日と同じものは何もない
そして、今日と同じものは何もないのが、明日
変化の総量で人生は成り立ち
その飽和点に死がある。
ここからが、日本。
ようこそ。
2014.6.30