【第7回】第七週 | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

流星の予感

流星の予感

【第7回】第七週

2014.02.24 | 山田航

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  南の町の小さな白い家の玄関へと
  北の町の鎖の錆びに体中まみれた二人がやって来て
  西の町のストーブもないのに暖かなパン屋の袋を抱いて
  東の町で腐るほど作られているずっしり重い革袋とともに

反故郷なるタイトルで市役所のロビーに浮かび続ける陶器

  歩くんだ。
ライターを閉ざす瞬間散る火花それを頼りに足場を探れ

  分け合うためじゃなくて、
  奪い合うために僕らは二人でいるんだよ。

タクシーの頭部きらめきわが中をうごめく夜行性の欲望

  だから、これはここに置いてゆくんだ。
クリストファー・ロビンもいつかこの森を出てゆく春の氷雨を浴びて

  スピードは上がってゆく。
  僕は都々逸なんて口ずさみながらおどけてみる。
  君は当然のように笑わない。

それを蒔かなきや花にはならぬ種さお前の泣きぼくろ
死に場所どことお前は言ふがガソリンだけが知つてゐる

2014.2.24