【第4回】第四週 | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

流星の予感

流星の予感

【第4回】第四週

2014.02.03 | 山田航

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  いつかガソリンが尽きるときも来る。
よく目立つ赤い車はせめてもの擬装で夕暮れに燃え上がれ

  僕らの旅が終わるときも来る。
つまさきだちの真夏の果てをゆく鳥と何も変へられなかつた僕と

  終わるときは死ぬときよと君は言ってくれる。
狼に処刑法ありその群れを追放さるるうるはしき刑

  終わる直前の僕たちはどんな銃を握り締めているのだろうか。
目覚めたての尿の黄色が濃いことに驚けるだけ驚いておく

  このまま終わりを喪ってゆく僕らのために回文短歌が降りてくるのさ。
かすみ草その手は後に彷徨ふよまさに地の果ての操作ミスか
(かすみさうそのてはのちにさまよふよまさにちのはてのそうさみすか)

2014.2.3