【第4回】ニカラグアは燃えているか | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

とうめいなおどり

とうめいなおどり

【第4回】ニカラグアは燃えているか

2015.07.02 | 三上その子

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ニカラグア(ニカラグアン・ベ)(ネフィ)(ッツ)
の舞台のうえで
理論 スィーオリー りーろん
実行 プラァークティース じーっこう
なんども歌った
うつくしい東洋の調べを
呆けたまま 二十世紀が傾いたとき
 
ネットもスマホもまだなくて
私は太陽神経叢に
竹を削ったペンで
書きこんだ
ことのてんまつ
たいして痛くはなかったよ
肌に浮かぶ血の玉は
ぴちぴちと若かった
 
あの日
南アフリカも伸びをした
大統領と夢で会い
握手してハグ&キスをして
 
あれから幾人死んだのか
まだ誰も
世界の足もとにたどりつかない
 
なんども歌って
なんども忘れた
あれ
革命の歌なのよ?
 
ニカラグアは燃えているか
 
夢のなか
あなたは 厳しい眉で()
 
日本は梅雨
先ごろ株はバブル越え
山は動き
地は揺れる
ことばたち 首をシめられ
遠い太鼓にハヤされる
万歳三唱
万事暗礁
 
これは
ベネフィッツではない
誰ももう
舞台(バック)(ステージ)()パス(パス)を持たない
いま
すべての髭が
燃えて
 
りーろん めらめらー
じーっこう めらんこりあー
 
大統領の耳に
告げられる釈放
でもまだ

檻のなかよ?
世界は
 
あれから
二十五年が過ぎて

 

2015.7.2