【第3回】重力のレッスン | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

とうめいなおどり

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【第3回】重力のレッスン

2015.06.25 | 三上その子

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チョコレートの板
のように
筋が刻みつけられた
てらりと光るその
ひとり用の
肘かけ椅子
 
あなたの腹筋
のような
そこへ                         
誰が座っても
重みはわずかな凹みとなり
すぐに消えてしまう
 
いつだってそんな
何食わぬ顔で
生きてきたのでしょう
どの重さも
相殺して
縮みきらない
スプリングみたい
魂の密度など
受けとめることもなく
 
重力のこと知っていた?
 
あなたの○○の
重さのことよ
 
今日 私は
洒落た木のブラインドを開けて
奥の部屋にあなたを入れる
 
あなたは窓に気づく
よい窓
よい
絹の紗のかかった窓に
 
あなたが窓のうちで
私を横たえるとき
私の腹から手が伸びて
 
その腰に
大地の重さを教える
 

2015.6.25