とうめいなおどり
わたしの詩は
会いたかった あなたへの手紙
ありがとう
いてくれて
そこに
いてくれて
死なないでね
もう しばらくね
十五週間
あります
この筆を
ふたたび置くまで
初夏にはじまり
秋におわる
ひと夏の
短いおどり
の
ような本
息を
ふかく吐いて
吐き
つくして
いっしょにね
ゆっくりね
そうしたら
あなたに入ってゆける
あたらしい故郷の
酸素をふくんで
わたしの手は小さく
なにを
守ることもない
さしだすのは
わたしだけ
衣を脱いだ
この
肌だけ
どうぞ めくってね
つぎのページを
― 白い紙すら無いじゃないか
― とうめいな儘じゃないか
あぶりだし
なのよ
あなたのまなざしが
わたしをかたどる
あなたが
もっとも長い夜につく溜息で
吹きよせられた泡の奥から
私は顕現する
世界へ
2015.6.11