【第9回】春休みなんてあってないようなもので自分みたいだと親近感がわいちゃった君たちに告ぐ。 | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

『モブキャラ生徒Aが彩る高校青春グラフィティ』も3期に突入な件。

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【第9回】春休みなんてあってないようなもので自分みたいだと親近感がわいちゃった君たちに告ぐ。

2015.03.27 | そらしといろ

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制服が光る
それは生地が長時間、机や椅子に接していると
繊維の毛羽が寝てしまい、光りを反射するようになるから
教室に流れていた時間が、制服を磨いて光らせる
 
摩擦が光りを作る
それは人間にも言えるかもしれない
教室で光っている彼らは日々、表情を目まぐるしく変えて
くたびれることを好んで、まぶしさを鋭く育てる
 
鋭い光りに打たれてしまえば楽だけど
それは光りと一緒に影も溶けて自分を見失うこと
あるいは同化および肥大して強くなる錯覚に麻痺すること
 
三月に制服はクリーニングに出されてリセットされる
それは自分が自分の色で光るか、くたびれずに影として伸ばした背筋を
貫くために与えられた、数少ないチャンスのこと

 
2015.3.27