POETRY FOR YOU
別れを保留して
そこにカーテンを引いた。
折りたためない気持ちの厚さに負けて
羽毛布団にくるまれている。
乳を与えることは本能じゃない。
渡り鳥の宿命を眠らせるため
ミルクを均一にかきまぜた。
病室でハミング。
いまは壁に見えても
開け放たれる可能性の揺らぎ。
面会謝絶という言葉にも、
話したいこころが潜んでいる。
動物は熱っぽいし、子どもは汗臭いし。
そもそも仲間じゃないみたい。
わたしは日が暮れるまで
虫のしぐさで待っていた。
手足より触角が慕わしいもの。
遊ぼうってわたしを呼んだ
その人のことは忘れない。
爪を立ててくれた。
舌で吸ってくれた。
人に抱かれれば
人に近づける気がした。
光を浴びる人はうつくしい立て膝。
やさしい手遊びのなかで
わたしは触角の記憶を奪われていた。
2014.12.8