【第12回】エクスタシー | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

POETRY FOR YOU

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【第12回】エクスタシー

2014.12.01 | 福間健二

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香りのいい酒を飲み
睫毛と鼻のかわいい人と
砂の斜面をすべりおりた。
見つめあう。
生きている。
空を見た。
V字隊列の鳥たちは行ってしまった。
人さし指で文字を書く。
読めないとは言わせないが
 
急にむくむくと
動物たち。
困った。
遠ざかっていきながら
人の性格の奥深くに歯の跡をのこして
限界を知らないのだ。
楽しいことってなんだろう。
顔が見たくて
難破した帆の下で遊ぶ子どもたちを
 
さがしたけど見つからなかった。
あとでそうだったとわかる別れ道
ほとんど味のしないキャンディーを
光と風にさらして
ちょっと笑った。
大きくなりすぎた友と一緒に。

2014.12.1