【第11回】それもこれも | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

ここと うたと ことばのれんしゅう

ここと うたと ことばのれんしゅう

【第11回】それもこれも

2014.11.29 | 今橋愛

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明日ともだちに会うというのに着る服がない。
いやちがう。部屋ひとつ。へたしたら部屋ふたつをこれ全体衣紋掛け。のようにしてしまっているのは。はい。わたしです。
たんすにはセーター。セーターまたセーターが わんとあるのに、
手にとると どれもぴんと来ないのはなんで。
ずぼんも、ずぼん。ずぼん。とあるのに これもどれもぴんと来ず。
思えば、おなかにここが来てから、おなかはふくれ。肥えて肥えて肥えて肥えていちばんさいごは20キロも肥えて。
あのへんから何を着たらいいんかわからへんようになってしまったのやった。
結局じいちゃんにもらった男物のユニクロのボーダーに夫のチノパンを週に2回のペースでくりかえしくりかえし着ているひとはだれ。それもわたし。
 
明日ともだちに会うというのに白髪を染めるエネルギーもない。
いつも眠い。ここと散歩かたがた神社にお祈りに行くときも眠くて眠くてこれはなんやの。と思いながら今日はついにキューピーコーワゴールドを夕方にも ひと粒のんでしまったことだよ。
クリスマスのケーキをどうすんのか。おせちをどうすんのか。
スーパーに行くたび気になりながら、数の子くらいは生協で注文しておこうか。どうしようか。買ったものの冷ぞうこに入ったままになっている「みやここうじ」でジャムをつくりたい。というささやかな願い。などもありながら
百人一首と原稿はいっこも終わらへんのに、もうじき11月は終わってしまうことだよ(えいたん)
 
 
わたくしで思いだしたうた 
 
捨てられし金魚泳いでゐる川のあれはわたくし捨てしもわたくし
                        辰巳泰子


2014.11.29