POETRY FOR YOU
あかね雲の下に
光る物体がある。
バス停から歩いていって
その物体を盗む。
なんだかわからないのに
そう思っただけでワクワクする秋だ。
たどりついてみると
それはもう光っていない。
ごつごつしていて、意地がわるそうだ。
人間にひどいことをするもの
たとえば海
いまは凪いでおとなしいけれど
怒ったらなにもかも奪う。
その海を盗んで
いなくなった神様のかわりに育てる。
どうなるのかわからないのに
だれかの仇を討ったような気持ちだ。
星は盗めないよ。
盗まなくても
この目が見てしまった
青い卵を
空に返しにいく途中だけど
街を盗む。きみが歩いているから。
2014.11.17