【第8回】妖精たち | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

POETRY FOR YOU

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【第8回】妖精たち

2014.11.03 | 福間健二

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眠る木になったぼくの皮を剝いで
あっという間に通りすぎていった人生。
生きて、感じて
死んで、どんな歌になるのか。
野心や苦悩は呼びかえせないが
傷ついた足をひきずって
やってくる人たち
クシャクシャの笑顔だ。
手をとりあい、いたわりあう目をして
ベンチで休み、感じる木に近づく。
まいったなあ。歌うぼくは休まないけど
よい人たちと
スイッチ、そっとしておきたい。
羽のようなものがかすかに動いている。

2014.11.3