【第6回】風の街 | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

POETRY FOR YOU

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【第6回】風の街

2014.10.20 | 福間健二

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一瞬ためらってから
明かりを全部消して
街をとおる風の状態を思った。
きっぱりと危険を覚悟する
枝と葉からのルネッサンスだ。
階段をのぼりおりしたり
まちがったスイッチをいじったりする
むずかしい恋じゃない。
ほら、小さなものが息をしている。
半分はまだ水の精でも
半分はもう社会の袋小路に匂いをはなって
追いつめ、追いつめられている。
風の街にすてられ
根なしで育つのだ。



2014.10.20