【第4回】追いぬく恋 | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

POETRY FOR YOU

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【第4回】追いぬく恋

2014.10.06 | 福間健二

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最新式の、ふとったママが
悩まない貝殻を鳴らしている
その音が風の運ぶ死者の声にかさなって
ぼくの沈黙を走らせる。
岬からの暗く狭い道と
空白のページの上に、同時に。
何を書いてもいい。何を落としてもいい。
走っている沈黙はひとつじゃない。
この地上に生まれるまえから存在していた
苦痛と手段、傷と枝状のものまで
一気に追いぬいてしまう恋だ。
まだ会ってない。
でもなにかがぶつかりあって
もう言うことをきかない子どもができている。

2014.10.6