POETRY FOR YOU
最新式の、ふとったママが
悩まない貝殻を鳴らしている
その音が風の運ぶ死者の声にかさなって
ぼくの沈黙を走らせる。
岬からの暗く狭い道と
空白のページの上に、同時に。
何を書いてもいい。何を落としてもいい。
走っている沈黙はひとつじゃない。
この地上に生まれるまえから存在していた
苦痛と手段、傷と枝状のものまで
一気に追いぬいてしまう恋だ。
まだ会ってない。
でもなにかがぶつかりあって
もう言うことをきかない子どもができている。
2014.10.6