POETRY FOR YOU
陽が沈んだら束の間、
この椅子をゆずってください。
求めれば叶う十月のスクリーン。
影の角度になんて
もうじき悩まなくなる。
見えない闇の中で
すじがきを結び直そう。
遠く抜き去られていた。
あの人が速度を上げたのか、
わたしが追えなくなったのか。
いずれにせよ
遅れすぎていたけれど。
ゆるしたいとは思っている。
輝くカーブが現れたなら
誰だってハンドルを切る。
だからわたしも
走り出すことにした。
叶いはじめた夜には
ひとり映画館にいます。
客席の誰も気づかないが、
わたしはひそかに
アクセルを踏んでいる。
2014.9.29