POETRY FOR YOU
「せつない」と
口にしたときの響きが
せつなさだと思う。
実体のない感情を
喉はふるえて正してくれる。
まじりけのないものに換えて
まるく吐き出す。
心動かされたあと、
ひらいてしまったわずかな隙間。
それらをぬかりなく塞いでは
五臓六腑に飲み込んできた。
スープ皿を虹がひとめぐりするまで
一度きりの
「はじめまして」を予告する。
(主語は明かすな。
口元を拭いなさい)
朝食のための舌と
子音表の上に肘をつき、
ペンを動かしはじめている。
2014.9.14