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誰でも明日のことは考える

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【第14回】ところで少女という存在は

2014.08.18 | 城戸朱理

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森に棲み、神の使いとされながら
子殺しをするハヌマンラングール、
もはや、灰白の毛と長い尾だけが人間との違い
ときには、木から落ちたりもする
地上のあらゆるものが、地球の中心に引き寄せられている
言葉をかえるなら、落下している
昨日も、今日も
そして、明日も。
 
ハンチントン舞踏病は、実は重力への抵抗なんだぞ
ところで、少女という存在は
つねに厭わしい
それは、重力が脊椎を垂直にするからだ
猛禽類を思わせる目をした詩人なら
アリスに題材を採った詩を書くだろう
たとえば、桃色に震える果肉のことなどを
 
君は、気づかないかも知れないが
反発しながら引き合って
世界の均衡は形成されている
好きか嫌いかは、水平に作用する
雷雨や竜巻が発生するのは、本当は
上空に寒気が入り込んだからではない
 
ハヌマンラングールが、また同族の子どもを殺した日、
几帳面な矩形に連なる都会の窓を見ていた
それは神秘的なまでに性的な眺めであり
午後の陽射しを映す窓という窓
そのそれぞれの奥のテーブルに着席した
ふくよかな母体のなかでは
巨大な火の雹が降りそそぐ前に生まれ出るべく
胎児が育っていく
 
かりに、君が気づかなかったとしても。

2014.8.18

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