【第10回】湾へ | マイナビブックス

詩、短歌、俳句の新しいカタチを探ります。紙から飛びだした「ことばのかたち」をお楽しみください

新しい器官

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【第10回】湾へ

2015.03.31 | SST+U

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水と水がまざるところは泡立つ
汽水域死者十名の桃化せる  悦史
 
 
 
足元には白い紙袋があった
爪はこぶ電車いなびかりの湾へ  智哉
 
 
 
火を、水を
そらまめはボイラーマンを凌駕せり  智哉
 
 
 
風が前髪をすこし吹く
湾岸道路窓あをければ鉄骨萌ゆ  猿丸
 
 
 
その灯りは夜も消えない
自動販売機に凭れ海みる鉄骨萌ゆ  猿丸
 
 
 
日はほこりのなかに光と
日の匂ひうばふうみかぜ鉄骨萌ゆ  猿丸
 
 
 
小鳥は長い距離を飛ばない
春の汀歩むはばたく小鳥踏むごとく  猿丸

 

2015.3.31