塔は崩れ去った
9月15日から始まる「ことばのかたち ~日々が紙から飛びだして~」Season3。火曜日のご担当は俳人の福田若之さんです。
福田若之 ふくだ・わかゆき
1991年、東京都生まれ。2013年より『群青』、2014年より『ku+』に執筆。2014年7月よりウェブマガジン『週刊俳句 Haiku Weekly』(http://weekly-haiku.blogspot.jp)編集を手伝う。共著に『俳コレ』(邑書林、2011年)。
『塔は崩れ去った』
塔は崩れ去った、と書かれたとき、塔は崩れ去った。縦に連なっていた言葉が、横ざまにぶっ倒れて、バッキバキに砕けて、液晶画面にとっ散らかる。物語には頼る柱がない。土台がもう機能しないんだから、土台無理な話なんだ。それで話がもう無理なんだ。いにしえの金字塔にさようなら。これは積み木じゃなくて編み物。あるいは重力でどうにか地表にこびりついている無数の破片。(福田若之)