2015.11.21
One's View コラム Web Designing 2015年12月号
[IoT:DriveOn]1万円のデバイスとアプリで自動車産業に切り込む
4人のナビゲーターが、それぞれ自分のジャンルから一つの対象を選んで毎月紹介する「ナビゲーターズコラム」。選んだ対象の目の付け所や特徴など、わかりやすく解説してくれます。
人間の活動をサポートするようなIoTサービスが生まれつつあるが、そういうサービスを作る際、モノを「何と」繋げるかという視点がとても重要になる。ただインターネットにつながっていればいいのではなく、モノを他のサービスに繋げることにより、より大きな価値を生み出すことがIoTサービスの醍醐味であり、それを実現できたものこそが生き残るのである。
今回紹介するのは、(株)スマートドライブの「DriveOn」という自動車のIoTサービスだ。SmartDriveデバイスを車のOBD-IIコネクタ※に接続することにより、急加速や急ブレーキ、アイドリング時間、エンジン異常などのデータを取得し、それをスマートフォンのアプリ上で可視化し、さらには独自の運転診断アルゴリズムに基づいてスコア化していく。急ブレーキ、急加速、アイドリングが主な減点対象となっていて、とくに減点判定がなかった場合は優良ドライバーとして相応のポイントが付与される。
これによりDriveOnは運転者の安全かつ効率的な運転をサポートしてくれるのである。そしてそれだけでなく、DriveOnはインターネットを経由してさまざまなサービスとつながることを予定しているようなのだ。たとえば保険会社と連携し、運転手の資質に応じた保険の割引サービスの提供、いわゆるテレマティクス保険への適用を考えているように思われる。それだけでなく、ガソリンスタンドやディーラーなど、さまざまな周辺サービスとつながることにより、カーライフ全体をサポートする一大ソリューションになりうるのだ。
そんなどデカすぎる絵を、大手自動車メーカーでなく小さなスタートアップが描き、その中心を取ろうと勝負かけてきている(に違いない!)のは、見ていて本当にワクワクする。
※自動車に搭載された故障診断機能の標準規格。国土交通省は2008年10月より乗用車と小型トラックへのOBD-II(On Board Diagnosis)の搭載を義務化した。
【IoT】DriveOn