2015.12.21
One's View コラム Web Designing 2016年1月号
[IoT:kizuki.]なんとなくの心地よさ
4人のナビゲーターが、それぞれ自分のジャンルから一つの対象を選んで毎月紹介する「ナビゲーターズコラム」。選んだ対象の目の付け所や特徴など、わかりやすく解説してくれます。
先日発表されたIoTライトインスタレーション「kizuki.」は、天気予報を感覚的に伝えるプロダクトだ。現在、ホテルリズベリオ赤坂のロビーに、ホテルのロゴの一部であるRの文字をモチーフとしたkizuki.を設置している。Open Weather Mapの天気情報APIから現時点の天気と12時間後の天気予報を取得し、パネルの色を変化させることで天気予報を伝える。周囲の状況を伝える場合、記号(言葉や数字)から認識させる方法がある一方、感覚的に“なんとなく”認識させるやり方もある。たとえば時間の場合、時計がなくとも太陽の光の明るさや向きで、なんとなく時刻を把握することができる。kizuki.も光の微細な変化を用いて、それに近い感覚で天気を伝えようとしている。
感覚的に伝えることによって、より自然に情報を取得できるし、なによりプロダクトから発信される情報量が多くてうるさい、なんてこともない。ホテルのロビーで静かに過ごしたい顧客のために、それはとても心地よい「体験」になっているのだろう。
このプロダクトは単に情報を伝えるだけでなく、体験を提供するものなのだ。ホテルのロビーに設置されたkizuki.は、ホテルの象徴的なアートピースであり、ホテルの顧客にさりげなく快適な体験を提供する装置としても機能しているのだ。
kizuki.は、TBWAHAKUHODOQUANTUMが立ち上げた自社ブランド「QM(組む)」の第一弾プロダクトでもある。QMのリリース文にはこう書いてある。『Creating a Colorful Experience with TE°CHNOLOGY 体温のあるテクノロジーで、生活に彩りを添える体験を』。
IoT というと「利便性向上」にその価値を見出すことが多いように思うが、こういったインターネットの情報を素晴らしい「体験」に変える装置としても非常に面白い。
【IoT】kizuki.