2018.05.02
[UX2-3]理想の体験へと導く施策を段階的に設計する こんなユーザー体験をしてほしい
コンテンツを通して提供する価値が決まったら、具体的にどのような記事を掲載し、どのようなフローを経てユーザーにしてほしい体験・行動をしてもらうかを考えていきます。そのためには、「カスタマージャーニーマップ」と呼ばれる、ユーザーの体験ストーリーを考える手法が有効です。
メディアの担う範囲を位置づける
ここまではコンテンツで課題解決をする方法について考えてきましたが、あなたが運営するメディアだけでその役割が完結するとは限りません。たとえば、ECサイトの売り上げを伸ばしたいとしたら、メディアで買いたい(買う価値がある)と思わせ、ECサイトに送客するところまでが担う範囲となります。このようにメディアが課題解決のどの範囲までを担い、そこまでどのようなフローを経るのかを明確にしておきましょう。
たとえば有料のWebマーケティングツールを提供する会社による、Webマーケティング情報を発信するメディアがあったとします。メディアでは、まだWebマーケティングにそれほど力を入れていない企業のWeb担当者と繋がり、最終的には自社で提供する有料のマーケティングツールに契約してもらうことを目指しています。このときメディアでは、以下の4つのフローを経て、簡単にWebマーケティングが行えるツールがあることをユーザーに知ってもらうところまでを担います(01)。
(1)メディアを通して、マーケティングの概念を知る
(2)自社の課題が、マーケティングの手法で解決できることを知る
(3)資料やイベントでより深い知識を得られることを知る
(4)資料DLやイベントへの参加を行う
そこから先は、マーケティングツールのサイトへ送客し、どのようなマーケティングを行えるのか比較検討をし、有料契約へと繋げています。
ペルソナの体験ストーリーを書き出す
メディアとして担う範囲とフローが決まったら、ユーザーにそのフローを体験してもらうためにはどのようなコンテンツを掲載すべきかを考えていきます。それには「カスタマージャーニーマップ」という手法が有効です。これは、ペルソナが課題解決をする過程でどのような行動をし、どのような感情・思考になっていくかというストーリーを組み立てていくものです。
Webマーケティングのメディアでは、新規に獲得したいペルソナのWeb担当者がWebマーケティングを自分ごと化し、Webマーケティングのツールを知るようになるまでのフローを次の5つのフェーズに分けて考えていきました(02)。
(1)漠然とした課題
(2)マーケティングの認知
(3)DL資料やイベントの認知
(4)DL資料やイベントの実践
(5)マーケティングツールの認知
ユーザーのを知識を成長させる
カスタマージャーニーマップの第1フェーズ「(1)漠然とした課題」は、まだペルソナがWebマーケティング情報のメディアに出会っていない状態です。Web担当者に任命されたものの、社内には知見がなく何をしてよいかわからない状態にあります。もしこの段階のペルソナに、Webマーケティングツールの広告を見せても、具体的に何ができるのか自社で使いこなせるのかが判断できないので、接点を持つことは難しいでしょう。
第2フェーズの「 マーケティングの認知」で、メディアと出会い、少しWebマーケティングがわかるようになってきます。そのためにメディアでは、Webマーケティングに初めて取り組む人に向けた入門的な記事を掲載します。また、専門用語が出てきたらその解説記事をリンクするなど、知識がない人でも読んでいてわからないと感じるものがないようにしていきます。
第3フェーズの「(3)DL資料やイベントの認知」では、ユーザーがWebマーケティングについて学ぶ方法を調べるようになります。記事ではオンラインで入手できる資料やイベントを活用して、Webマーケティングを学ぶ方法を紹介します。
第4フェーズの「(4)DL資料やイベントの実践」では、ユーザーが実際に資料やイベントでWebマーケティングについてさらに一歩踏み込んで勉強していきます。そのために記事では、有用な資料やオススメのイベント情報などを掲載します。
最後の第5フェーズ「(5)マーケティングツールの認知」では、ツールを使うことで簡単にWebマーケティングをはじめられることを知ってもらいます。そのため記事では、ツールの特長と自社のツール紹介を掲載します。
また、これらのフェーズを経ていく過程で、ユーザーはメディアについて「役に立つ」「ファンだ」と思ってくれているでしょう。新しい記事を公開したときに知らせられるよう、第3フェーズあたりでSNSのフォローやWebサイトのプッシュ通知を促すとよいでしょう。
このようにして、徐々にユーザーの知識を成長させ、「Webマーケティングツールの有料契約をしてもらう」という目的に近づけていきます。
メディアをマーケティングに活用するメリットは、これまで接点を持てなかった人にもその人のステージにあわせてリーチしやすい点にあります。知識がない状態でツールと出会っても、どんな効果がもたらされるのかが不明なため、興味を持ってもらえません。無関心だったところに、Webマーケティングとは効果のあるものであり、手軽に利用できるWebマーケティングツールがあるという知識を段階的に伝えるからこそ、ユーザーと繋がることができるのです。