2017.03.24
SNSの「エンゲージメント率」に注目すべき理由 どう評価する? エンゲージメントとは違う指標
マーケティングにおける広義の「エンゲージメント」に対して、ソーシャルメディアで使われる「エンゲージメント率」はどのようなものなのだろうか。その意味は? NPSとの関連は? ここではFacebookとTwitterにおける扱いを中心に、エンゲージメント率の意味と役割を考えてみよう。
Illustration:笠井美史乃
量だけでは測れないコンテンツの「質」の指標
一般的にエンゲージメント率とは、投稿が「どれだけの人に届いたか(リーチやインプレッション)」を分母、その投稿に対して「どれだけの人が反応したか(いいね!やリツイート等)」を分子として計算した値を指します。投稿が届いた人のうち反応してくれた数が多ければ値が高く、逆に少なければ低くなります(具体的な計算式は後ほどご紹介します)。
今、なぜこのエンゲージメント率が注目されているのでしょうか。それは、SNS利用者の増加によりSNS上の情報量もまた増えていることと関係しています。加えて、SNSではファンやフォロワーを集めても、投稿すれば必ず届くというわけではありません。というのも、Facebookのニュースフィードは単純な時系列ではなく、日頃からいいね!やコメント等、やり取りの多いアカウントの投稿を優先して表示する仕組みになっています。またTwitterはアプリを開くと「前回ログインからのできごと」として少し前の投稿が表示されますが、これもTwitter側が「見逃している可能性のあるおすすめのツイート」と判断したものです。SNSの全体的なトレンドとして、サービス側がそのユーザーにとって重要だと思われる投稿を選別し、優先的に届ける形に変わってきています。
こうした中で、効果測定の指標として注目されているのがエンゲージメント率というわけです。ファン数・フォロワー数が「量」の面でアカウントを評価するものであるのに対し、エンゲージメント率はどれだけの人から反応を得られたか、コンテンツの「質」を示すものであると言えるでしょう。
ファンに選ばれる情報を提供できているか
SNSではファンやフォロワーを増やすことも重要ですが、より多くのユーザーに知ってもらうために、いいね!やリツイート等の反応を得ることも同じく重要になっています。ファンやフォロワーに興味・関心を持ってもらえる投稿が届けられれば反応を得られる可能性が高まり、反応してくれたファンやフォロワーとの関係が深まり、優先的に表示される確率も高まる、という循環が生まれるからです。
ファンやフォロワーに届けられる情報が選別されているだけでなく、ユーザー側も取り入れるべき情報を取捨選択しています。また、欲しい情報は欲しいタイミングで検索して手に入れることが当たり前になっています。こうした状況で、ファンやフォロワーに、きちんと見てもらえているのか、選ばれる情報を提供できているのか。エンゲージメント率はそれを検証するための指標でもあるのです。