2017.02.23
顧客と結びつくためには? CPA起点の発想から、一度離れてみよう
エンゲージメントという観点のもと、「顧客の確保(結びつき)」のためにすべきこととは何か? 現実的なスモールビジネス目線から、「メリット」「共感」「満足」の切り口で解説する
Photo:児玉淳一
エンゲージメントによってもたらされることについて、Chapter 01では顧客化(顧客を確保する)をテーマに、「メリット」「共感」「満足」という3つのキーワードを通じて、考察と理解を深めていく。
まずは、自社や自分が携わる事業について、自社のコンタクトポイントを整理しよう。どのような経路を辿って最終的なコンバージョンを得て、利益を生んでいるのかについて、再検討してみたい。
実践の場を意識して、Web展開する事業者、特にスモールビジネスを念頭におくと、オーソドックスにユーザーと接点を持つ手段の1つに「バナー広告+ランディングページ」という組み合わせがある。すでに頭打ちだという状況も増えているが、広告の飽和状態を勘案すると、当然かもしれない。そこで、新たにパイ(顧客)をどう獲得するか、ターゲット層をどう拡げていくかを考え、これまでとは違う行動に移していく必要が出てくる。
昨今、動画マーケティングが騒がれているが、これは「動画でさまざまな情報を見せたら、必ず買ってくれる」ということではない。「こういう商品があるのか」といった認知/検討フェーズに至るきっかけを提供し、購入の意思を見せた相手が出てきて初めて、ダイレクトな訴求がコンバージョン(購入)につながりやすくなるということだ。確かに、Webマーケティングでもっとも重視しがちなのがCPA(顧客獲得単価)起点の発想だ。しかし、ダイレクトな訴求一辺倒では、顧客は反応を示さないのも事実である。
デジタルマーケティングの世界では、「刈り取る」や「釣る」といった言葉が飛び交う。そもそも、こうした言葉遣い自体が、エンゲージメントを考えるにあたって、不適切な状況といえないか? 顧客と自社(企業)とのフェアな関係を前提とするなら、出てくる言葉ではないからだ。
数字の追求も意識しながら、ここでは、より実践の場を意識した観点で、「エンゲージメントと顧客の関係性」について紐解いていきたい。