2017.03.23
顧客の心を掴むには? “透明性”の時代になったことで、本物の企業が生き残る
顧客にエンゲージメントが高いと感じてもらうためには、ただやみくもにサービスや製品を良くすればいいわけではない。何をどう改善し、どういう伝え方をすれば心を掴むことができるのだろうか。
Photo:児玉淳一
近年、エンゲージメントの向上を目的としたコンサルティング支援の依頼は増えてきている。それは、企業の姿勢や理念が顧客から透けて見えてしまう、“透明性の時代”になっているからだろう。
その要因として、SNSの影響力がとても大きくなっていることが挙げられる。個人がTwitterやYouTubeなどを通してクチコミ情報を発信できるようになったことで、顧客側が企業やサービスなどに対してどう捉えているかという話題が伝わりやすくなっている。もちろん、悪評が出たら隠すことはできない。社会的な意識も上がる一方なので、サービスや商品以外の評判にも顧客は敏感に反応し、それが購買活動にも結びつき得る。なかなか調査結果などには出てきづらいものだが、企業の理念に共感して購買をする、あるいはその逆というケースは、増えているのではないだろうか。
以前はネガティブな情報があったとしても顧客側には広める手段がなかったため、表沙汰になることが少なく、とりあえず有名企業の製品やサービスを購入していたという人も少なくなかっただろう。しかしそうした情報も隠せなくなったことで、本物が生き残っていく時代になった。まっとうにビジネスをしている多くの企業にとって、喜ばしい状況になったと言えるだろう。
だからといって、ただ真摯にホスピタリティを持ってサービスを提供していくだけでは、なかなかエンゲージメントは築かれない。顧客に「まさに自分が必要としていたサービスだ」と思われるためには、他社と比べてどんな強みを持つサービスを提供できるかを入念に設計していく必要がある。
また、インターネットの普及により人々が日々触れる情報量が膨大になり、なかなか広告などの企業が発信するメッセージが届きにくくなっている昨今。どうやって自社のサービスの良さを伝えていくかにおいても工夫していかないといけない。特にデジタルネイティブの10代は、広告やステマなどを忌避する感覚は、大人世代が想像している以上に強いようだ。だからこそ、企業ではなく第三者からのクチコミで商品やサービスが推奨されていくのが、いまの時代にエンゲージメントを高め得る理想的な広がり方だと言える。膨大な情報の中からみなが誰による情報を重視しているかというと、「信頼できる人からのクチコミ」が多いと言われている。たとえば、おしゃれな友人や特定の情報に詳しい知人、あるコミュニティのインフルエンサーとなる人などだ。
そうした背景を踏まえ、具体的にどのようなプロセスでエンゲージメントの創出・伝達を行うと良いかを紹介していこう。