2016.02.02
IoTをビジネスにするためのポイント(1/2)●特集「IoT」の現在 アメリカのベンチャー「Nest Lab.」のビジネスモデルから学ぶ
アメリカでは、西海岸を中心にIoTビジネスを手掛けるスタートアップが1,000社以上存在すると言われています。2014年にGoogleが32億ドルもの現金を投じて買収し、シリコンバレーにおいて知らない人はいないといわれれる注目企業NestLab.(以下Nest)のケースを取り上げながら、IoTの近未来とビジネス化するためのポイントについて考えていきます。
1_Nest社と主要プロダクト
Nestは、元Appleの幹部であるトニー・ファデル氏とマット・ロジャース氏によって2010年に創設された企業です。Nestは3種類のIoTプロダクトを提供しています。人工知能機能が搭載された温度調節機の「Nestサーモスタット(2011年)」、煙探知機の「Nestプロテクト(2013年)」、監視カメラの「Nestカム(2014年)」です。Nestプロテクトが一酸化炭素を検知すると、Nestサーモスタットがガスの元栓を閉めるといったプロダクト間の連携も可能です。これらのプロダクトを束ね、遠隔からでもコントロールすることができるアプリケーションが「Nest App 5.0」です(図1)。

2_Nestサーモスタットの価値提案
200万台近く売れているというNestサーモスタット※の価値提案は、大きく2つあります。ひとつは、利用者が難解な操作を行わなくてすむ「利便性」です。設置した最初の1週間程度は操作が必要ですが、その後はサーモスタットが「利用者はどのような家の中の状態を望んでいるか?」を考えながら自動運転してくれます。2つ目は、「お金の節約」です。Nestサーモスタットを使うことにより、電力料金を20%程度削減することが可能で、半年で購入費用が回収できます。
このような価値を提供するための具体的な機能を6つほど挙げてみました(図2)。
※欧米では家全体で温度調節するのが主流で、エアコン同士のハブの役割を果たすデバイスがサーモスタットとなる
