2016.01.29
【IoT×農業】「e-kakashi」が変える農業の姿●特集「IoTの現在」 熟練農家の知識や勘をデータ化して継承
IoTによって大きく生まれ変わると期待されている産業の一つが「農業」。高齢化、経験や勘に頼った育成の継承方法など、産業全体が抱える課題群はIoTでどう解決されるのだろうか。その一つの解が「e-kakashi」だ。e-kakashiは、農業のあり方さえ変える可能性を秘めている。
農業に必要な経験や勘をIoTでデータ化する
IoTが活躍できる産業の一つとして特に注目されているのが農業分野。農林水産省発表の「平成26年 新規就農者調査」(2015年9月発表)によると、49歳以下の新規就農者は2万1,860人。新規就農者全体の約38%を占めるなど、農業を始める若い世代が増えている。しかしその一方、定着する人が少ないという問題を抱えている。理由はさまざまだが、大きな要因の一つとしてあげられるのが、農業は経験や勘に頼る点が多いこと。つまり意欲を持って農業を始めてみても栽培がうまくいかず、最終的に離職してしまうケースだ。そうした新規就農者をサポートするために、JAや各自治体には「営農指導員」や「指導農業士」と呼ばれる人がいるが、高齢化や人手不足などで、支援できる範囲や人数も限りがある。
そんな農業が抱える課題をIoTで解決する取り組みとして注目を集めているのが、ソフトバンクグループのPSソリューションズ(株)が開発した「e-kakashi」だ。
e-kakashiは、温湿度センサーや日射センサー、土壌水分センサーなど、栽培と密接に関わる各種センサーを搭載した子機を田んぼや畑に設置して栽培現場をモニタリング。収集したデータを、子機から最大1km圏内に設置した親機の携帯回線を経由してクラウドに送ることで、農業に活かすシステムだ。2015年10月にソリューションの販売を開始し、同年12月末にサービスインした。