2016.02.04
「ユカイ工学」青木俊介さんが語る、IoTの未来●特集「IoTの現在」 ロボティクスベンチャーの視点から見た、いまとこの先
「IoT」という言葉ばかりが一人歩きしているといった指摘も聞こえてくる昨今。本格的な普及のためにどんな点に注目すべきなのか。特集の締めとして、ロボット製品づくりに取り組み、「ロボットが家の中にあるさまざまな機器のUI(ユーザーインターフェイス)になっていく」と考えているというユカイ工学の青木俊介さんに、話を聞いてみることにする。その視線の先には、日本のIoTの未来があった!?
photo:合田和弘
活用すべきは、“本体”から“環境”へ
ーー今日は、ロボット「BOCCO」をはじめとするユニークなハードウェアをリリースしているユカイ工学の青木さんにIoTにまつわる話を伺いたいと考えているのですが、本題に入る前に、まずは、ユカイ工学を立ち上げた経緯から聞かせてください。
「僕はもともとチームラボという会社にCTOとして立ち上げに関わって、主にサーバサイドの担当をしていました。検索エンジンをつくったり、いろいろなサービスのバックエンドを構築したりといったことをずっとやっていたんです。それはそれでやりがいのある仕事だったんですが、その一方で、毎日真っ黒な画面ばかり見ているのはどうなんだ、と思うようになりまして。いつしか、ブラウザの外に出たい、ディスプレイだけの世界から抜け出したい、という気持ちでいっぱいに(笑)。それで、小さな頃からの夢だった、ロボットづくりをしようと、ユカイ工学を設立したわけです。2007年でした」
ーー当時はWeb2.0の全盛期。Webの世界ではいろいろなサービスがスタートした時期でした。
「そうですね。MySQLとかApacheといった無料のツールが充実した時期でしたね。その一方で、アメリカで雑誌『Make』がスタートしたり、Arduinoが登場したりと、ハードウェアの世界でも何かが起きそうな空気が漂いはじめた時代でもありました。それまで数十万円、数百万円もしたようなセンサーが一気に安くなったり、もうちょっと経った頃にKinectなんかも出てきたんじゃなかったかな(編集部注:Kinectの登場は2010年)」